大司教レア暗殺決行の日が迫るなか、
ディミトリは計画そのものを疑っていた。
計画自体が敵の罠だとしたら?
かつてエーデルガルトに指摘された。
「表面ばかり見ていたら名君にはなれないわよ」
ディミトリは敵の真意を読み取ろうと、
警備すべき場所を洗い出していた。
敵の本当の狙い
大司教レア暗殺計画は迫っていた。
青獅子の学級にも警備の任が与えられていたが、
ディミトリは敵の狙いはレアにはないと疑っていた。
レア警護によって手薄になった、別の場所を狙っているのではないか。
つまりロナード卿が所持していた暗殺計画の密書は、
こちらの目を眩ますための罠、ということだろう。
物事を表面だけでは判断しない、
君主として頼もしい素質を垣間見せた。
青獅子の学級はその方針で警備の任につくことが決定された。
レアが狙われる非常事態ということもあって、
普段は関わり合いを持ちたがらなかったシャミアと
その弟子ツィリルも、情報交換をかねて会話する機会が何度かあった。
レアに恩義のある2人は、
何としてもレアを守りたい強い思いがあるのだろう。
あるいはベレトを怪しんでいるのかもしれなかった。
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どこを警備するか
いよいよ暗殺計画の当日、女神再誕の儀式が行われる日が来た。
敵の狙いをある程度は察知しつつも、
具体的なことまではわからない青獅子の生徒たち。
どうしても緊張感に欠けてしまい、
談笑が始まってしまうのは若いゆえ仕方ないことだろう。
そんな生徒たちを見て、厳しく注意してくるセテス。
しかし妹フレンがいると調子を狂わされ、
かえって和んだ雰囲気を作ってしまったようだ。
青獅子の学級の生徒たちは、
ディミトリが事前に洗い出した怪しい場所を順番に見回ることになった。
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賊の狙い
ディミトリの勘が当たり、
手薄だった地下聖廟に賊が侵入していた!
どうやら敵の狙いは聖者セイロスが眠る棺らしい。
急いで駆け付けるも、開けられてしまう。
その中にあったのは遺骨ではなく、剣だった。
その剣には空洞があり、
あるべきものが失われた状態に見える。
しかしベレトがそれを握ると赤く輝き、
素晴らしく威力を発揮する。
賊の中にあって静観していた死神騎士は、
その剣を見て驚き、その場を去った。
カトリーヌが騎士団を率いて駆け付けた時には、始末がついていた。
青獅子の学級の手柄だ!
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剣をめぐる思惑の違い
今回の事件の犯行組織は、西方教会であることが判明した。
彼らは中央教会であるガルグ=マク大修道院から冷遇され、
同じセイロス教徒であってもレアに不満を持っていた。
今回の事件では、その不満を利用され、
西方教会が望まない実行犯をやらされたらしい。
確かに、セイロス教徒なら
女神を冒涜するような挙に出ることは考えにくい。
つまり西方教会は何者かに騙されて事件を起こしてしまった。
それでも犯した罪が消えることはなく、
申し開きをする機会すら与えられずに、
処刑される運びとなった。大司教レアの意向である。
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西方教会を裏で操っていたのは、
赤仮面の男と、身分の高そうな貴族の男であった。
彼らはベレトが手にした剣が「天帝の剣」であると見抜いた。
1000年以上前の戦いで使われたその剣――。
「開放王」ネメシスはその剣をでセイロスと戦って敗れた。
その戦いの光景はベレトの目に焼き付いている。
あの時の夢である。
そこでセイロスはネメシスに馬乗りとなり、
必要以上に短剣を彼の体に突き刺していた。
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あの戦いはどうやら歴史的な戦いであったようだ。
貴族の男はネメシスを盗賊と呼んだことから、
聖者セイロス寄りの人物であろう。
一方の赤仮面の男は、
敬称を付けずにセイロスを呼んだことから、
ネメシス寄りの人物であることが推測される。
2人はこの点で根本的な不一致がありそうだった。
そしてネメシスの剣を使いこなしたベレト。
彼に一目置くのは2人に共通しているらしい。
「天帝の剣」は、かつて女神がネメシスに授けたという経緯がある。
ネメシスはその剣を使って邪神を退治し、女神の期待に応えた。
最初はどちらも同じ陣営だったのだ。
そこまでは良かった。
その後ネメシスは力に溺れ、
自らが邪神のごとく振舞ったために、
女神が遣わした聖者セイロスに討たれることになる。
「天帝の剣」をベレトが使えることの意味とは。
ネメシスのように、正にも邪にもなりうる危険な存在?
いや、そもそもどちらが正でどらが邪かもわからない。
赤い仮面の人物が、ベレトを測りかねているのは、
いつかは味方になるはずだ。
そう期待しているのかもしれなかった。
2人は、次なる計画を立てていた。
再びあの死神の騎士が襲ってくるようだ。
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