EP14 妄執の王子【FE風花雪月】

愛する者を失う苦しみを誰よりも知っているディミトリが、
他者の愛する者を奪う……。
それは人間であることを捨てる、大きな代償を払ってのことなのだろうか。

5年ぶりの再会

セイロス騎士団を率いてレアを捜索していたセテスは、
ベレトたちが集まっていることを知って、ガルグ=マクに帰ってきた。

誰もがこんな同窓会になるとは思わなかった。
学友であったエーデルガルトを討つために、
かつての学舎まなびやを拠点として帝国との戦いを決意するなどとは……。

しかもディミトリに学生時代のさわやかな面影はなく、
人の意見に耳を貸そうともしない。
それどころか、みなで団結することも
「くだらない」と一蹴するありさまなのだった。

学生時代にディミトリを「いのしし」と呼んで
その本性を見抜いていたフェリクスでさえも、
「まるで別人だな……」
そう言わせてしまうくらいの、激変ぶりであった。

死者への愛と、妹への愛

ディミトリはひとり、死者と会話をしていた。
親友だったグレン、父と母……。
彼らを殺したのはエーデルガルトであり、
王位を奪ったのもエーデルガルトだった。
彼女の首を持ち帰ることが死者への供養であると信じた。
死者と会話しているときにだけ
彼は若かりし頃の面影を少しだけ見せていた……。

--。
一方、帝国軍はこちらの動きを察知し、
ガルグ=マク大修道院に若きランドルフ将軍を向かわせていた。

ランドルフにも愛する家族がいた。
厳しい戦いになると予感した彼は、
妹フレーチェに前線へ出ることを許さない。
兄を心配するフレーチェは前線へ一緒に行きたいと頼むが、
「必ず帰ってくる」
兄の力強い言葉に、同意せざるを得なかった。

ギルベルトの策略

若きランドルフよりも歴戦の将ギルベルトが一枚上手だった。
敵を挑発して一所に集めると、火を放って大損害を負わせた。
ランドルフは撤退を余儀なくされ、その殿しんがりを務める。
非常に危険な任務を大将自ら買って出るあたり、
兵を大事にする人物なのだろう。

しかし、ディミトリに捕らえられてしまう。

非情なる復讐心

捕らえられたランドルフは愛する家族がいることを訴えるが、
ディミトリは無情だった。
無情どころか、残酷だった……。

家族のためだろうと、死者のためだろうと、人殺しに変わりはない。
そうであるなら大義の名のもとにそれを肯定するよりも、
自分のように非人間的な化け物になるべきだ

ディミトリはそう言いたいようだった。
理由はどうあれ人を殺しておいて、人間らしく振舞うな、と。

見かねたベレトが一閃のもとランドルフを楽にする。

--。
帝国軍を撃退することはできたが、彼我ひがの戦力差は歴然であり、
本格的に侵攻されれば修道院はもたないだろう。

そこで旧王国領で抵抗運動を続けるフラルダリウス公ロドリグ
援軍を要請することにする。
フェリクスの父親であり、
「ファーガスの盾」と呼ばれる頼もしい人物だ。

亡き父の親友であった彼は、
ディミトリにとって家族同然の付き合いがあった。
王家に忠義の厚い彼の元には
王国復活のこころざしある者たちが集結しているという。

正当な王位継承者であるディミトリに
彼らが合流すれば立派な軍勢となり、
王都奪還も夢ではないだろう。

まずは王都を奪還し、
十分な態勢をとってから帝国と対峙するのが現実的と思えたが、

「帝都を落せば戦争は終わる」

ディミトリはそう言って、王都奪還の考えがないことを示した。
ベレトの提案に耳を貸すこともなく、
彼の復讐心が全てに優先されてしまうのだった……。

王都奪還ではなく、帝都へ……

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