EP13 再開の夜明け【FE風花雪月】

この5年の間に王国は壊滅し、
王子ディミトリにかつての面影はない……。
憎しみを燃料にして命を燃やし、死に急ぐかのようだった。

約束

ガルグ=マク大修道院が陥落した日から5年間、
ベレトは眠り続けていた。
周辺は荒れ果て、修道院は賊の巣窟になっているという。

「5年後、みんなでここに集まって同窓会をやろう

その思いがベレトを目覚めさせたのだろうか?

状況が激変した今、そんな他愛ない約束が守られるとも思えない。
しかし、そこにはいた。
ディミトリの変わり果てた姿だった。

彼はベレトすら敵に見えるほどの変わりようだった。
その生きる目的は、エーデルガルトを殺すこと
戦争に乗じて、弱者を踏みにじり、
略奪を繰り返す賊どもを皆殺しにすること。

死者たちにそう誓ったのだ。
たとえ自分が獣に落ちようとも、殺す。
この大修道院にもそんな連中が巣を作っている。
そんな獣どもを皆殺しにしなければならない。
とにかく、殺す。

もうベレトの手に負える状態ではなかった……。

世界情勢

ファーガス神聖王国では政変によって
王子ディミトリが地位をはく奪され、
帝国の支援を得たコルネリアによって王国全土が支配されようとしていた。

レスター諸侯同盟においても、帝国派と反帝国派が分裂し、
内戦の危機に瀕している。
しかし盟主クロードの働きによって同盟破棄にはいたっていない。

アドラステア帝国はエーデルガルトを中心に国がまとまり、
まずは王国領土をつぎつぎと勢力下に組み込んでいた。

殺人鬼

ディミトリは殺人鬼のようになっている。
治安が悪化し、賊の巣窟そうくつになったこの場所は、
彼にとって格好の仕事場のようだった。

たった2人で大量の賊が巣くう拠点を襲撃する、
あまりにも無謀な戦いをベレトも強いられる。
しかし彼を放っておくことなどできず、
共に死ぬ覚悟を決めた。

しかしその途中、
かつての仲間たちが集まってきた

最初はギルベルトとアッシュ、
別の道からメルセデスとアネットが大修道院に到着した。

そして、シルヴァン、イングリット、フェリクスの幼馴染3人も
駆け付けた!

それぞれの思いを胸に、
同窓会の約束を果たすために……。

願い

かつてとは状況が一変しまったが、
みんな同窓会の約束を覚えていた。しかし--。

「なぜお前たちがここにいる?」

ディミトリは意外そうに言う。
彼自身が「必ず行く」と約束したはずだったではないか。
その約束のためにここへ来たのだと信じたい。

ファーガス神聖王国は滅亡してしまったのだ。
だからこそ正当な王位継承者であるディミトリが反旗を掲げることで、
みなの思いを一つにして、もう一度王国を復活させたい。

そういう仲間たちの願いの一方で、
ディミトリの瞳からは希望の炎が消えている……。

敵と戦う思いはみな一緒なのだが、
ディミトリは過激な皆殺しにこだわり、
仲間たちとの温度差が浮き彫りになってしまう。

王国が滅亡したのはある事件がきっかけだった。
摂政を務めていたディミトリの実の伯父、
リュファスが何者かに殺害された。

その犯人がディミトリであると断罪され、
処刑されることになったのだ。
これによって王統が途絶えてしまう。

そんな彼を救ったのが、ここにはいないドゥドゥーだった。
ドゥドゥーは命を犠牲にして、
処刑を待つディミトリを牢から逃がした。
それでも刑の執行は広く告知され、ディミトリは
世間から死んだ存在となり、行く当てを無くした。
王子だった身分から、最下層民へ落ちたのである。

……ドゥドゥーまでも失い、
彼が絶望に支配されるのは無理のないことかもしれない。

しかし、そもそも何故ディミトリが
リュファスを殺さなければならなかったのか。
肉親を殺された復讐心を生きる糧にするディミトリが、
どうして肉親を殺せるのだろうか!?

何者かの陰謀によって王国は滅びたのだ。
今は帝国の支援を受ける魔女コルネリアが
ファーガス公国を宣言し、
抵抗を続ける旧王国領土への侵略を続けている。

コルネリアの陰謀だったという確信を、
ギルベルトは持っている。
王国復活の望みを持って、ディミトリの生存を信じ、
ずっと彼を探していたのだ。
5年をかけて、やっと見つけた。

しかし、すでに彼はまともに話ができる状態ではなかった……。

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