女神が宿ったベレトは髪が緑色に変化し、周囲を驚かせる。
大司教レアは女神の復活を確信し、ベレトを聖墓へと連れて行き、
そこで啓示を受けさせようとする。
それこそがレアの悲願だったのだ。
……そこへ炎帝と帝国軍が乱入してきた!
やってはいけない行為
ベレトの髪が緑色になった姿を見て、セテスは大司教レアを疑った。
赤子だったベレトに禁忌な行為をしたのではないか?
そう問い詰めるが、答えは返ってこない。
女神を人間に宿す行為は、セイロス教でも禁止されているらしい。
今月の課題として青獅子の学級に与えられたのは、
ある場所へ行くことだった。
「聖墓」
そこには女神ソティスが眠っているという。
大修道院の地下にそんな施設があることを知るものは少ない。
そもそも大修道院は、聖墓を守るために作られたという。
女神が宿ったベレトには、そこで言葉が与えられるだろう。
レアはそう確信していた。
女神を復活させ、
再びフォドラを統べるというのがレアの悲願であった。
乱入
知る者の少ない、地下深くの大聖堂。
ここで、古の儀式がとり行われる。
女神再誕。
神話になぞらえて、
ベレトを見守るために聖墓へ同行してきた青獅子の生徒たち。
「女神から啓示を受けたセイロスには、聖騎士たちが同行していた」
それが神話の内容だった。
レアに促されるままに、ベレトは玉座に座る。
そこで主から啓示が降りてくるのだという。
この玉座は夢の中で女神ソティスが座っていたものだ。
夢の事を、レアは知っていた。
レアも同じ経験をし、女神と融合して髪が緑色になったのだろうか?
--。
……いくら待っても、ベレトに啓示は降りてこない。
焦るレアは、何が足りないのかを必死に考える。
その時、炎帝が帝国軍を率いて乱入してきた!
アドラステア帝国・ファーガス神聖王国・レスター諸侯同盟
三国の中立地帯である、この大修道院に。
しかも極秘であるはずのこの聖地に……!
炎帝と帝国が繋がっていた事実に驚く生徒たち。
ディミトリにとって炎帝はダスカーの悲劇の仇。
レアは聖墓を踏みにじる行為に、怒り心頭に発している。
激戦が始まろうとしていた。
豹変
炎帝の狙いは棺の中の紋章石のようだ。
以前に礼拝堂で生徒が魔獣になったとき、
その額に石があるとジェラルトは言っていた。
この紋章石こそ、人を化け物に変える力を秘めているようだ。
つまりセイロス教の禁忌であり、
だからこそ聖墓の存在は秘密となっているのだろう。
その力を使ってフォドラを支配する。
それが帝国と「闇に蠢く者」たちが望むことなのかもしれない。
しかし炎帝の誤算は、
ここを守るのが、ベレトに率いられた青獅子の生徒たちということだ。
グロンダーズ鷲獅子戦で圧倒的な強さを見せた彼らは、
数の上で互角であれば帝国軍にもまったく後れを取らない。
あっという間に帝国軍は蹴散らされ、炎帝を追いつめ、
ベレトの剣がその仮面をかすめた。
炎帝の素顔を隠していた仮面が床に落ちる。
その正体は……。
炎帝の正体はエーデルガルトだった!
それを知ったディミトリは豹変。
不気味な高笑いを始める。
今までの面影は消えてなくなり、
エーデルガルトへの友情も、恋情も、
すべてが反作用となって悪魔が乗り移ったかのように、
嬉々として彼女へ襲いかかった。
持っていた槍を、エーデルガルトに向けて鋭く投げつける。
エーデルガルトは動けなかった。
あるいは、命中しないと分かったかもしれない。
狙いは紙一重で外れ、
槍は彼女の頬をかすめた。
知ったことではない
ディミトリは最後に1つだけ聞きたかった。
家族が皆殺しにされた悲劇。
彼にとっての継母は、エーデルガルトの母でもあるのだ。
母を殺した悲劇を起こした、その後悔はないのか、と。
追い詰められた状況にあっても、エーデルガルドは動じない。
「私の知ったことではない」
そう言い放った。
これまでの炎帝の発言から照らせば、
「私は知らなかった」という意味なのかもしれない。
しかしこの言い方は
「そんな事どうでもいい」と聞こえる。
ディミトリの殺意は膨れ上がった。
そこへ、帝国兵たちが皇帝を逃がそうと
ディミトリの前に立ちふさがる。
その一瞬の隙にヒューベルトが現れ、
エーデルガルドの手を取ってワープ魔法で脱出してしまった。
--。
聖墓から戻り、青獅子の教室に集まる生徒たち。
ディミトリの豹変ぶりに困惑していた。
フェリクスだけは、「あれが奴の本性だ」
そう言って驚かないのだが、
そういう問題ではなさそうだと仲間たちは思っていた。
ディミトリがおかしくなったのは、
炎帝の正体がエーデルガルトと分かってからだった。
2人の関係は普通じゃないと、みな思い始めていた。
そんな折、とんでもない知らせが入る。
エーデルガルトがアドラステア皇帝に即位し、
セイロス聖教会とそれに味方する勢力に宣戦布告したのである!
情勢が激変したことに、大修道院内は上を下への大騒ぎとなった。
その中でディミトリは言葉少なに、沈黙を深めていた……。